孤独の話をしよう
孤独は実在じゃない
それは外から見て 想像で作られた言葉だ
誰もいない 物音もしない
この部屋に座ってみる
向うに昨夜の吸殻が いっぱいの灰皿
昨夜は向うのソファーに黙って座っていたんだ
今日は こっち
その変化だけでも心がはずんで
笑いたくなったりする
それが孤独だ
私は孤独に誇りを持ったよ
陽気な孤独だ
孤独の氾濫だ
私がテラスに座っていたときも
孤独は作られたよ
1人でワインを味わっていたんだが
向うの森のはずれを通る人たちが私を見た
さぞ孤独に見えるだろう…
そう思ったとたん 深刻な孤独感に襲われたよ
つまり孤独とは演劇的な状況だ
自分を演技者と意識するときの状態だといえる
しかし その恐ろしい状態にありながら
私は生まれ変わったように感じる
孤独のパラドックスだ
大事に守られているような
深い安心感さえ感じるから ふしぎだよ

イヴァン・デスニー/ヴィム・ヴェンダース
映画『まわり道』より